市場分析
フラット35 vs 民間銀行 — 2026年の借り換え市場と選択基準
フラット35の市場シェアは縮小傾向。民間銀行との金利差・条件差・適合する利用者層を整理。
住宅ローンの選択肢として、住宅金融支援機構が運営する フラット35 と民間銀行のローンは、構造・特徴が大きく違います。2026年現在、フラット35の市場シェアは縮小傾向にある一方、民間銀行が攻勢を強めています。本レポートでは、両者の比較と選択基準を整理します。
フラット35の市場シェア推移
フラット35の住宅ローン全体に占めるシェア:
- 2018年: 12.5%
- 2020年: 14.8%(コロナ期に増加)
- 2022年: 11.2%
- 2024年: 9.5%
- 2026年Q1: 7.8%(過去最低水準)
フラット35のシェアは、2020年のピークから半減傾向。民間銀行の変動金利競争に対し、フラット35の固定金利が割高に見える局面が続いています。
2026年Q2の金利水準
主要な住宅ローン商品の金利(新規借入向け):
- 民間変動金利(主要メガバン・ネット銀行): 0.75〜0.95%
- 民間固定10年(キャンペーン): 1.45〜1.75%
- 民間固定35年(全期間固定): 2.10〜2.35%
- フラット35: 1.85〜2.05%(35年全期間固定)
- 住信SBIネット銀行・楽天銀行: 0.55〜0.85%(最安帯)
フラット35と民間固定35年の差は0.25〜0.30pt 程度。民間が条件次第でフラット35より若干安い水準まで下げています。
フラット35の特徴
メリット
- 35年全期間固定で金利確定(将来の利上げリスクなし)
- 団信加入は任意(健康に不安がある人にも借りやすい)
- 事業所の規模や勤務年数の制限が緩い
- 建物の質に関する技術基準を満たせばさらに低金利(フラット35S)
- 転職・自営業者・契約社員にも借りやすい
デメリット
- 金利水準が民間より高め(変動金利と比較すると1.0pt 高い)
- 建物の技術基準があり、適合しない物件は対象外
- 事務手数料が物件価格の2.2%(民間は2〜3万円固定が多い)
- 団信に入らないと、死亡時に債務継続のリスク
民間銀行ローンの特徴
メリット
- 変動金利は最安水準(0.55〜0.95%)
- 団信が無料付帯(死亡時に債務免除)
- 属性高い人(年収・勤務先)には有利な条件
- 事務手数料が比較的安い
- 各銀行の特典(ポイント還元・ATM手数料無料等)
デメリット
- 属性審査が厳しい(年収500万超、勤続3年以上が標準)
- 変動金利は将来の金利上昇リスク
- 転職・自営業者・契約社員には借りにくい
- 建物の評価が金融機関の独自判断
属性別の最適選択
属性別のおすすめ住宅ローン:
大手企業正社員(年収700万超・勤続5年超)
- 第一選択: 民間銀行変動金利(最安帯0.55〜0.85%)
- 金利上昇リスクは認識、繰上返済原資を確保
- 住信SBI・楽天・auじぶん銀行などのネット系がコスパ高い
中堅企業・地方公務員(年収500-700万)
- 第一選択: メガバンク変動金利(0.85〜1.05%)
- 第二選択: 地銀の固定10年(将来の安心感)
自営業・フリーランス・契約社員
- 第一選択: フラット35(属性的に民間が借りにくい)
- 第二選択: 地銀の融資条件が緩い銀行
転職直後・育休復帰前後
- 第一選択: フラット35
- 勤続2年未満は民間銀行で厳しい
借り換え市場の規模
2026年の借り換え市場の規模(年間借り換え件数の推定):
- 2022年: 約120万件
- 2024年: 約145万件
- 2026年(年率換算): 約170万件
金利上昇局面で、変動 → 固定への借り換えが急増。「これ以上上昇する前に金利を確定したい」というニーズで、固定金利商品への乗り換えが活発化しています。
借り換えの判断基準
借り換えで効果が出る条件:
- 残債1,000万円以上
- 残期間10年以上
- 新旧金利差0.5pt 以上
- 諸費用60〜80万円を回収できる期間以上保有
これらが揃えば、3〜5年で借り換え費用を回収し、残期間で総額200〜500万円の改善が見込める。
不動産投資家の借り換え
住宅ローンとは別に、不動産投資ローンの借り換え市場も活況です:
- 都心物件保有者: 不動産価値上昇でLTV改善 → 借り換え条件良化
- 金利上昇で「変動 → 固定」への乗り換え相談増
- 不動産担保ローン(トラストHD等)も借り換え選択肢の一つ
2026年の借り換え市場では、以下のセグメントが活発:
- 住宅ローン → 住宅ローン(主流)
- 不動産投資ローン → 別の不動産投資ローン
- 住宅ローン → 不動産担保ローン(機動性確保)
2027年以降の見通し
2027年以降の住宅ローン市場の予測:
- 変動金利は1.20〜1.50% に上昇継続(政策金利1.5% 想定)
- 固定金利との差は縮小(20〜30pt 圏内)
- フラット35のシェアは7〜8% で底打ち
- 借り換え市場は当面活況継続
- 新規借入は変動と固定のバランスを取った商品が主流に
住宅ローン市場の構造変化は、不動産投資家にも影響を及ぼします。借入条件・借り換えタイミングを年単位で見直し、長期的なキャッシュフロー設計を更新し続けることが、変化の激しい金利環境を乗り切る姿勢です。
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