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家賃下落の統計学 — 築年数と家賃の関係を統計で読む

築10年で-10%、築20年で-20%。エリア別・物件種別の家賃カーブを長期予測。

執筆: Luxjpn 編集部 · 1 分で読了 · ·

家賃は新築時から徐々に下落していくのが現実。「家賃が下がらない」と謳う業者シミュレーションは、長期では現実離れした楽観前提です。本記事では、築年数と家賃の関係を統計データで整理し、購入時に織り込むべき家賃下落カーブを提示します。

築年と家賃の標準的な関係

東京都心の一般的なRC築マンション(築年に応じた家賃の維持率):

  • 新築〜築5年: 100%(基準)
  • 築5〜10年: 95〜97%
  • 築10〜15年: 90〜93%
  • 築15〜20年: 85〜88%
  • 築20〜25年: 78〜82%
  • 築25〜30年: 70〜75%
  • 築30〜35年: 63〜68%
  • 築35年超: 55〜60%

築20年で約-15%、築30年で約-30%。新築月10万円の物件が、築30年で月7万円という標準的なカーブ。

エリア別の家賃下落差

エリアによって家賃下落の速度が違います:

東京都心3区: 築20年で-10%、築30年で-20%。下落が緩やか。需要が安定し続けるため、家賃維持力が高い

東京23区主要部: 築20年で-15%、築30年で-25%。標準的なカーブ

東京近郊・大阪・名古屋: 築20年で-18%、築30年で-30%。やや下落速い

札幌・福岡: 築20年で-20%、築30年で-32%。寒冷地・湿度の影響

地方政令市・中核市: 築20年で-22%、築30年で-37%。需給の弱さが家賃に直結

地方中堅都市以下: 築20年で-25%、築30年で-45% 超。人口減少による下落加速

物件種別の差

同じエリアでも、物件種別で下落カーブが異なります:

RC築マンション: 標準的な下落、25年保有で-25%

軽量鉄骨アパート: RC より速い、25年で-35%

木造アパート: 最速の下落、25年で-45%

戸建て賃貸: 木造アパートと同水準、立地次第で更に下落

RC築は構造の長寿命さで家賃維持力が高い。逆に木造は耐用年数を超えると、家賃の下落と修繕費上昇のダブルパンチで運営が厳しくなる。

家賃下落の主な要因

家賃が下がる構造的要因:

1. 物件の老朽化 — 設備の古さ、内装の陳腐化、競合新築物件との相対比較

2. 周辺環境の変化 — 駅前再開発・工場移転・大学撤退などの需要要因

3. エリアの人口減少 — 地方都市での若年層流出

4. 競合物件の増加 — 新築アパート供給で需給バランス崩れ

5. 経済低迷 — 業績不振による賃金下落、家賃支払い能力低下

家賃下落を緩和する戦略

築古物件の家賃下落を抑える運営手法:

1. 計画的なリフォーム

築15年・25年のタイミングで内装リフォーム。家賃を維持・微増できる。

2. 設備のグレードアップ

エアコン全室設置、宅配ボックス追加、Wi-Fi無料、防犯カメラなど。「築古でも設備が新しい」物件として差別化。

3. 入居者ターゲットの変更

単身→ファミリー、若年層→シニア、日本人→外国人など、ターゲットを変えることで家賃水準を再設定。

4. 用途転換

住居→民泊、住居→事務所、住居→店舗など、用途を変えて市場価格を取りに行く。

シミュレーションへの織り込み

10〜15年の長期シミュレーションでは、家賃下落を以下のように設定:

都心3区: 年-0.5〜1.0%

主要23区: 年-0.8〜1.5%

近郊・大阪・名古屋: 年-1.0〜1.8%

地方政令市: 年-1.2〜2.0%

地方中核市: 年-1.5〜2.5%

業者シミュレーションが「家賃変動なし」になっている場合、購入後の実態とは大きく乖離する。自分でこの下落率を入れて再計算するのが必須。

家賃維持に強い物件の特徴

家賃下落カーブが緩やかな物件の共通点:

  • 主要駅徒歩5分以内
  • 築年数の異なる類似物件が周辺に少ない
  • 大学・大手企業・病院に近接
  • 商業集積(スーパー・飲食店)が充実
  • RC造、駐車場あり、宅配ボックスあり

これらの条件を満たす物件は、購入価格は割高(プレミアム付き)だが、20年保有での累積家賃が圧倒的に多い。

長期視点でのシナリオ計算

20年保有の累計家賃収入を、家賃下落率別に計算:

初年度家賃年120万円の物件:

  • 家賃下落 -0.5%/年: 20年累計 約2,280万円
  • 家賃下落 -1.0%/年: 20年累計 約2,180万円
  • 家賃下落 -1.5%/年: 20年累計 約2,090万円
  • 家賃下落 -2.0%/年: 20年累計 約2,000万円

下落率の差で20年累計が280万円違う。この差は、物件選定での「立地と物件種別の選び方」で決まる。

家賃下落を「未知数」ではなく「予測可能なカーブ」として捉え、エリア・物件種別ごとの統計値で長期投資判断ができるようになると、不動産投資の精度は大きく向上します。

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