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相続前売却 vs 相続後売却 — どちらが税務上有利か

親世代が持つ不動産。相続前に売るか、相続して売るか。税務と運営の観点で整理。

執筆: Luxjpn 編集部 · 1 分で読了 · ·

親世代が高齢になり、相続が現実的な選択肢として浮上してくる時、保有不動産を「親が生前に売却」「相続後に子が売却」のどちらが有利か、という問いが出てきます。両者は税制が全く違うため、ケースによって最適解が変わります。本記事では、両方の税務構造を整理し、判断軸を提示します。

相続前売却の税務

親が生前に売却する場合、親自身に譲渡所得税が課税されます。

  • 所有期間5年超 → 長期譲渡20.315%
  • 所有期間5年以下 → 短期譲渡39.63%
  • 居住用なら3,000万円特別控除あり(自宅売却時)
  • 10年超保有の居住用は軽減税率(課税所得6,000万円までは14%)

売却で得た現金は、その後の生活費・贈与・遺産として子に引き継がれる。生前贈与として子に移すなら、年110万円以下の贈与税非課税枠を活用、または相続時精算課税(2,500万円まで贈与時非課税)で計画的に。

相続後売却の税務

親が亡くなり、相続を経た後に子が売却する場合:

1. 相続時の評価

相続税の対象は、不動産の「相続税評価額」。一般的に時価の70〜80%程度に評価されるため、現金のままより不動産の方が評価額が低い → 相続税の節税効果あり

2. 相続後の譲渡所得税

子が相続した不動産を売却する時、取得費は「親の取得費を引き継ぐ」(取得費引継ぎ)。これにより:

  • 所有期間: 親の所有期間を引き継ぐ → 通常は長期譲渡(20.315%)
  • 取得費: 親が買った時の金額(古い物件は安い)
  • 譲渡益が大きくなる傾向

3. 相続税の取得費加算特例

相続後3年10ヶ月以内に売却する場合、相続時に支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。これにより譲渡益が圧縮され、譲渡税が減少。「相続後すぐに売る」場合の重要な節税策。

具体例で比較

親が30年前に1,000万円で購入した区分マンション、現在の時価2,500万円:

相続前売却

  • 譲渡益: 2,500 − 1,000 − 諸経費50万 = 1,450万
  • 長期譲渡税(20.315%): 約294万円
  • 親の手取り: 2,500 − 294 = 約2,206万円
  • 相続発生時、現金2,206万円が遺産
  • 相続税課税対象 = 現金2,206万円

相続後売却

  • 相続時の評価額: 2,500万 × 80% = 2,000万円(実質評価)
  • 相続税課税対象 = 不動産2,000万円(現金より20%圧縮)
  • 子が相続後3年内に2,500万円で売却
  • 譲渡益: 2,500 − 1,000 − 諸経費50万 + 取得費加算(相続税の物件分相当)= 約1,300万
  • 長期譲渡税: 約264万円
  • 子の手取り: 2,500 − 264 = 約2,236万円

同じ最終手取りが2,200万円台でも、「相続税課税対象が現金2,206万 vs 不動産評価2,000万」で、相続税自体が違う。相続税率10〜30%帯なら、20〜60万円の差が生じる。

相続前売却が合理的なケース

1. 親の生活費が必要 — 不動産を現金化して、医療費・施設入居費に充てたい

2. 物件のメンテナンスが困難 — 親が高齢で物件管理ができない、空室が続いている

3. 居住用なら3,000万円特別控除 — 親の自宅を生前に売却することで、3,000万円の譲渡益を非課税化

4. 相続税対策とは別の動機 — 親の意思で「自分で売り抜けたい」など

相続後売却が合理的なケース

1. 相続税の評価圧縮効果 — 不動産の評価が時価より20〜30%低くなる効果が大きい場合

2. 居住用での小規模宅地等の特例 — 親が住んでいた家・敷地は、330㎡まで80%減額の評価

3. 家族で承継したい — 子が運営を引き継ぎたい、または賃貸として保有続けたい

4. 取得費加算特例で譲渡税減 — 相続後3年10ヶ月以内売却で譲渡税の節税

「相続税ゼロ」のラインを意識

相続税には基礎控除があります: 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数。配偶者+子2人なら、基礎控除は4,800万円。遺産総額がこれ以下なら、相続税は発生しません。

遺産総額が基礎控除以下なら、不動産を相続するメリット(評価圧縮)も限定的。「相続税ゼロ」になる家族なら、生前売却で現金化しても結果的な税負担は変わらないため、運営の手間や家族の意思を優先するのが合理的。

相続税が発生する家族のケース

遺産総額が基礎控除を大きく超える(=相続税が発生する)家族では、不動産の評価圧縮効果が効きます。例:

  • 遺産総額1.5億円(現金1億+不動産5,000万)、配偶者+子2人
  • 基礎控除: 4,800万円
  • 課税対象: 1.02億円
  • 不動産5,000万円を時価評価した場合: 課税対象1.5億 − 4,800万 = 1.02億
  • 不動産を80%評価した場合: 課税対象1億4,000万 − 4,800万 = 0.92億
  • 相続税の差: 約100〜200万円(税率による)

遺産1億円超の家族では、不動産での評価圧縮の節税効果が顕著。逆にそうでない家族は、生前売却で現金化する方が運営の負担を軽減できる。

専門家相談が必須

相続前後の不動産処分は、税理士・司法書士・FPの複数専門家との連携が必要。マネカフェ お金の相談のような無料FP相談を入り口に、相続専門の税理士紹介を受ける流れが、ミスを避ける現実的なアプローチ。

判断ミスは「数百万円〜千万円規模の損失」になり得るため、独学で進めない方が安全な領域です。

相続前売却 vs 相続後売却の判断は、家族構成・遺産総額・物件特性・親の意思の4軸で複合的に決まる課題。一般論ではなく、自分の家族の状況に応じた個別最適化が必要なテーマです。

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