投資ガイド

減価償却の構造別計算 — 木造・鉄骨・RC の耐用年数と節税効果

建物構造で耐用年数が大きく変わる。築古木造の高速減価償却の使い方も含めて。

執筆: Luxjpn 編集部 · 1 分で読了 · ·

減価償却は、建物の取得費を耐用年数で按分して経費計上する仕組み。同じ価格2,000万円の物件でも、木造築22年と新築RCでは、年間の減価償却費が桁違いに変わります。これが税務上の所得を大きく左右し、節税効果に直結します。本記事では、構造別の耐用年数と減価償却計算を整理し、戦略的な物件選定の視点を提示します。

構造別の法定耐用年数

建物の法定耐用年数(住居用)は、税法で構造ごとに定められています:

  • 木造: 22年
  • 軽量鉄骨造(骨格材厚3mm以下): 19年
  • 軽量鉄骨造(3mm超4mm以下): 27年
  • 重量鉄骨造(4mm超): 34年
  • 鉄筋コンクリート(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC): 47年

耐用年数が短いほど1年あたりの減価償却額が大きくなり、節税効果が高まります。木造はRCの2倍以上のスピードで償却できる、ということです。

新築 vs 築古 の計算式の違い

減価償却の計算は、新築と中古で計算式が異なります。

新築: 法定耐用年数をそのまま使う

例: 木造新築 → 22年で按分、年4.5%(=1/22)

中古(築年が法定耐用年数を超えていない場合)

残存耐用年数 = (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 0.2

例: 木造築10年 → (22 − 10) + 10 × 0.2 = 14年で按分、年7.1%

中古(築年が法定耐用年数を超えている場合 = 簡便法)

残存耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2 (最低2年)

例: 木造築23年(超過) → 22 × 0.2 = 4年で按分、年25%

戦略の三本柱

1) 木造築22年超 — 4年高速減価償却

建物価格1,000万円の木造築22年超を買えば、年250万円(=1,000÷4)の減価償却。給与所得1,500万円の人なら、税務上のインパクトはざっくり以下:

  • 不動産所得の赤字: 約220万円(家賃収入−運営経費−250万円減価償却)
  • 節税効果: 220万 × 50%(高税率帯) = 年110万円
  • 4年間で累計440万円の節税

築古木造は、節税目的の高所得サラリーマン投資家に人気が高い。物件価格自体が低いので、初期投資も抑えやすい。

2) 軽量鉄骨築19年超 — 4年・3.8年

築19年超の軽量鉄骨アパートも、簡便法で4年(19×0.2 = 3.8 → 4年)で減価償却。木造より建物の耐久性は高い分、家賃下落も緩やかで、出口戦略との相性も悪くない選択肢。

3) RC築27年超 — 9.4年(10年)減価償却

RC築27年超の場合、簡便法で約9〜10年の減価償却。木造ほど派手ではないが、中規模物件(1棟マンション、価格1〜3億円)で組み合わせると、年500万〜1,000万円の減価償却を取りつつ、長期保有のメリット(資産価値の落ちにくさ)も享受できる、というバランス型戦略。

建物価格と土地価格の按分

減価償却が大きくなるかどうかは、物件価格のうち 建物部分 の比率で決まります。同じ3,000万円の物件でも:

  • 建物2,500万・土地500万 → 減価償却対象 2,500万円
  • 建物1,500万・土地1,500万 → 減価償却対象 1,500万円

業者は「節税重視なら建物価格を高く」と提案しがちですが、これには税務的な妥当性が問われます。固定資産税評価額や売買契約書、物件の積算評価で建物・土地の按分が客観的に説明できることが必須。あまりに恣意的な按分は、税務調査時に否認されるリスクがあります。

減価償却が終わった後の税務

減価償却の期間が終了すると、不動産所得は以下のように変わります:

  • 家賃収入は変わらない
  • 運営経費(管理費・修繕費・固定資産税など)も変わらない
  • 減価償却費がゼロになる

結果として、税務上の所得が一気に増え、税負担が跳ね上がるのが「減価償却切れ問題」。木造築古の4年戦略では、5年目から赤字が黒字に転じ、節税効果が消失します。

減価償却切れに備える3つの戦略

1. 5年目以降に追加物件を買う — 新たな減価償却を発生させて、累計の所得を圧縮し続ける。「物件の階段昇り」戦略

2. 5年で売却する — 減価償却が切れたタイミングで売却し、譲渡益を取りに行く。ただし所有5年超で長期譲渡20%になる前なので、売却タイミングは厳密に検討

3. 法人化する — 個人の所得税ではなく、法人税23%程度の固定税率に切り替える。法人化のタイミングも、減価償却切れと連動させると最適化しやすい

シミュレーターで「減価償却切れ後」も計算

減価償却が大きい物件は短期的にとても魅力的に見えますが、5年目以降の税負担を含めた長期シミュレーションが必要。REA流 不動産収支シミュレーションシートのような長期計算ツールでは、減価償却切れ後の税負担増加も自動計算できるため、「節税効果の累積効果」と「切れ後の負担増加」のバランスを直感的に把握できます。

建物構造ごとの減価償却の特性を理解した上で、自分の所得階層・ライフプラン・出口戦略に応じた物件選定をすることが、長期で勝てる不動産投資の基礎です。

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