投資ガイド
不動産投資の青色申告 — 65万円控除を取る具体的手続き
青色申告でしか取れない3つの優遇。事業的規模の判定と帳簿の整え方。
不動産所得の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。手続きが少し増える代わりに、青色申告には大きな税務メリットがあります。最大の魅力が 青色申告特別控除65万円。本記事では、不動産所得で65万円控除を取るための条件と、申告までの実務的な進め方を整理します。
青色申告の3つの優遇
青色申告には主に3つのメリットがあります。
1. 青色申告特別控除 (最大65万円) — 不動産所得から55万円(電子申告でさらに10万円加算で65万円)を直接差し引ける控除。所得税率33%帯なら、年21〜25万円の税還付効果がある
2. 青色事業専従者給与 — 配偶者や親族に給与を支払い、その金額を経費にできる。配偶者に年200〜300万円の給与を出して所得分散ができる
3. 純損失の繰越控除 (3年) — 不動産所得の赤字を3年間繰り越して、翌年以降の黒字所得から相殺できる。減価償却が大きい年に出した赤字を、後年の黒字で相殺する戦略が組める
65万円控除の3条件
65万円控除を取るには、3つの条件すべてを満たす必要があります:
条件1: 事業的規模(5棟10室基準)
- 独立した家屋の場合: 5棟以上
- 区分マンション・アパート1室の場合: 10室以上
- これに満たない場合は、特別控除は10万円までになる
条件2: 複式簿記による記帳
家計簿のような単式簿記ではなく、貸借対照表と損益計算書を作成できる複式簿記での記帳が必要。会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を使えば、入力さえ正確なら簿記知識なしでも作成可能。
条件3: e-Taxで電子申告
2020年分以降、紙提出だと特別控除55万円、電子申告すると65万円になる仕組み。e-Tax または会計ソフトからの電子申告(マイナンバーカード必要)で10万円増額が確定。
事業的規模の判定 — 「5棟10室基準」
区分マンション9室では満たせず、10室で達成。アパート1棟8室+区分2室で計10室、ならOK。逆に、家賃収入が高くても室数が足りなければ事業的規模としては認められない。
5棟は「独立した家屋」 — 戸建て5軒、または1棟マンション×5棟。アパート1棟をいくつ持ってもアパートは1棟扱い。1棟+1棟+1棟+…で計5棟以上が必要。
事業的規模に達しない場合(8室など)、青色申告自体は可能ですが、特別控除が10万円のみ。それでも、青色申告事業専従者給与・純損失繰越のメリットは取れるので、事業的規模未満でも青色申告にする価値はあります。
申告までの手続きスケジュール
青色申告を始めるには、以下のスケジュールで動きます:
1月〜3月: 申請書類の提出
- 「青色申告承認申請書」を税務署に提出
- その年の3月15日まで(または開業から2ヶ月以内)
4月〜12月: 帳簿の記帳
- 家賃収入を毎月記録
- 運営経費の領収書を月次で集計
- 会計ソフトで自動仕訳・複式簿記化
翌年1月〜3月: 確定申告
- 青色申告決算書(損益計算書 + 貸借対照表)作成
- 確定申告書B + 第三表 提出
- e-Tax 電子申告で65万円控除を確定
会計ソフトの選び方
不動産投資のための会計ソフトは、以下の機能が必要:
- 複式簿記の自動仕訳(家賃・経費を入力するだけで仕訳完成)
- 銀行口座連携(自動取込)
- 減価償却計算機能
- e-Tax 連携(マイナンバーカードで電子申告)
- 不動産所得用のサンプル勘定科目
主要ソフトはfreee・マネーフォワード・弥生会計の3択。月980〜1,500円の利用料が、年21〜25万円の節税のコストとして十分元が取れる。
専従者給与で家族に分散
青色事業専従者給与は、配偶者や15歳以上の親族に給与を支払い、それを経費にできる仕組み。配偶者を「物件管理担当」として雇用する形をとります。
例: 配偶者が無職、年200万円の専従者給与を支払う
- 不動産所得から200万円減 → 給与所得+不動産所得の合計を圧縮
- 配偶者の給与所得200万円 → 給与所得控除88万円後、所得112万円 → 課税ほぼ無し
- 世帯としての税負担: 数十万円の軽減
注意点として、専従者給与は「届出した金額の範囲内」「労務の対価として相当な金額」「他に主たる職業を持っていない」という条件を満たす必要があります。妻が会社員で給与もらっているなら専従者にはできません。
「自分でやる」 vs 「税理士に依頼」
不動産物件3戸以下なら、freeeなどの会計ソフトで自分で青色申告は十分可能。ただし以下のケースは税理士依頼を推奨:
- 物件5戸以上で複雑な減価償却計算が必要
- 法人化を視野に入れている
- 過去の申告に間違いがありそう
- 不動産以外に副業収入がある(給与+不動産+事業の三層)
税理士費用は年20〜35万円が相場。マネカフェ お金の相談のようなFP相談を入り口に税理士紹介を受ける、または起業1年目でも焦らない 自分でする確定申告の手引きのような実務マニュアルで自己学習する、という両方の道があります。
青色申告の65万円控除は、不動産投資家にとって最も「手堅い節税」。条件をクリアできる規模の物件運営に進んだ時点で、すぐに切り替える価値のある制度です。
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